プレスリリース

G7気候・エネルギー・環境大臣会合を受けて
ーー今こそ石炭火力発電全廃への道筋を描けーー

2024年5月2日
Climate Action Network Japan(CAN-Japan)

 

 イタリアのトリノで開催されていたG7気候・エネルギー・環境大臣会合は4月30日、3日間にわたる会議の末、成果文書となるコミュニケを採択して閉会した。

 世界がめざす1.5度目標の達成が危ぶまれている。3月、世界気象機関(WMO)は、昨年1年間の世界の平均気温は産業革命前から1.45度上昇し、観測史上最高を記録したと発表した。この危機的な状況下で開催された会合の焦点は、最大の排出源である石炭火力発電の廃止時期に合意できるかどうかだった。

 G7は2022年のドイツ・エルマウサミットで石炭火力の段階的廃止に合意して以来、具体的な廃止時期を決することが課題となっていた。その合意を阻んできたのは、7か国で唯一、廃止の目標年限を持たない日本だった。そのため日本の対応が注目されていたが、議長国イタリアのリーダーシップの下、G7として初めて「2030年代前半まで」という廃止年限を盛り込んだコミュニケが採択された。日本を含むG7諸国が石炭火力の廃止時期に合意したことを受け、日本はこの約束を踏まえ、2030年までの脱石炭に向けて現行政策の抜本的な見直しが求められる。

 本コミュニケでは、1.5度目標を達成するために、IEAのネットゼロのロードマップにおいて、先進国は2030年までに石炭火力発電の廃止が必要であると示されたことを引用しながらも、廃止年限を2030年より5年も遅い2030年代前半まで引き伸ばした。これでは科学の要請にも、国際社会の期待にも応えたものともいえない。今年度中に石炭火力を全廃する英国を筆頭に、日米を除く5か国はすでに2030年までに石炭火力発電を段階的に廃止する目標を掲げ、達成に向けた努力を重ねている。G7はその取り組みを日米を含む全7か国に拡大し、遅くとも2030年までの石炭火力発電の廃止に向けて行動すべきである。

 2035年目標を盛り込む次期国別貢献(NDC)の策定に向け、日本はまもなくエネルギー基本計画の検討に着手する。今こそ石炭火力発電の全廃に向けて、廃止年限を前倒しで達成するロードマップを策定すべきである。なお、今回「対策のとられている石炭火力」は対象外だが、IPCCは、対策とは炭素回収貯留などを利用しCO2を90%以上を除去できるものとしている。水素・アンモニア混焼や、90%以上を除去できない炭素回収貯留の石炭火力も廃止するべきである。そして、石炭のみならず、すべての化石燃料からの脱却も必要である。

 脱炭素化した未来の社会に、石炭を含む化石燃料の居場所はない。日本を含むG7には、昨年末にCOP28で合意した化石燃料からの脱却と、2030年までの再エネ3倍、エネルギー効率2倍という真の脱炭素化に向けた取り組みこそが求められている。

参考

Climate, Energy and Environment Ministers’ Meeting Communiqué

https://www.g7italy.it/wp-content/uploads/G7-Climate-Energy-Environment-Ministerial-Communique_Final.pdf

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【プレスリリース】G7気候・エネルギー・環境大臣会合を受けて ーー今こそ石炭火力発電全廃への道筋を描けーー(2024年5月2日)

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