プレスリリース

G7サミットの合意文書を受けて
―脱炭素化こそが、エネルギー危機と気候危機の解決策だ―

2022年7月1日
Climate Action Network Japan(CAN-Japan)

 2022年6月28日、ドイツ・エルマウで開催されていたG7サミット(主要7ケ国首脳会議)が、合意文書であるコミュニケを採択して閉幕した。

 このコミュニケでは、気候変動とエネルギー問題が主要5テーマのトップに掲げられただけでなく、あらゆる分野にまたがる重要なテーマとして位置づけられている。

 G7は、昨年11月のCOP26で採択された「グラスゴー気候合意」が示した1.5度目標の実現への決意を再確認し、2030年までに世界の温室効果ガスを半減させるために、すべての国に対してこの11月に開催予定のCOP27が始まる前に、2030年目標を見直し、強化して再提出することを要請した。

 重要な合意の一つに「2035年までに電力部門の全部または大部分を脱炭素化すること」が挙げられる。5月に開催されたG7気候・エネルギー・環境大臣会合のコミュニケでの「大部分(predominantly)」から、「全部または大部分(fully or predominantly)」へと強化された合意内容となった。
 そして、石炭火力発電が気温上昇の最大の原因であることを認識し、「排出削減措置の取られていない石炭火力発電所を廃止」することも盛り込まれた。

 さらに、世界の気候変動対策に不可欠な年間1,000億ドルの気候資金の拠出も約束した。途上国の省エネ・再エネへの支援はもとより、気候危機の拡大につれて適応や損失と損害への資金需要は高まっている。先進国の資金拠出は不可欠であるにもかかわらず、いまだ目標金額に達したことがない。先進国には今度こそ自らの誓約を遵守することが求められる。

 ロシアのウクライナ侵攻から4か月の間に、先進国と途上国を問わず世界各地で甚大な気候災害が多発している。日本ではエネルギー価格の高騰だけがエネルギー危機として論じられているが、気候災害は看過してはならないエネルギー危機である。脱炭素社会への移行過程で生じたこの危機の解決策は、原子力や化石燃料への回帰ではなく、気候と生物多様性の目標を堅持し、世界の長期目標でもある脱炭素化を加速させることである。

 最終日には、来年のG7サミットは5月に広島で開催されることが発表された。議長国となる日本には、世界の脱炭素化を牽引するリーダーシップが求められる。
 今回のG7において、日本政府が脱炭素化を含む内容に合意したことは前進といえる。一方で、岸田首相は閉幕後の記者会見において、合意文書とは相容れない「水素、アンモニア、CCUS等を活用して、脱炭素型の火力発電に置き換える取組」の推進を明言した。しかも、日本は、合意文書の草案にあった2030年までの道路部門の脱炭素化の目標設定に反対したことも報道されている。

 日本は主要7か国のメンバーとして、次期G7サミットの議長国として、国際的な合意文書の独自解釈を止めるとともに、脱炭素分野における自国の遅れに世界を合わせるのではなく、世界の脱炭素化を牽引し、自らの行動によって範を示すことこそが期待される。率先して取り組むべきは、1.5℃目標に整合した2030年目標を再提出し、世界第5位の排出国としての責任を果たすことである。

以上

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G7サミットの合意文書を受けて―脱炭素化こそが、エネルギー危機と気候危機の解決策だ―(2022年7月1日)

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