日本のNDC引き上げに関して緊急記者会見を開催

2020年2月6日(木)
Climate Action Network Japan(CAN-Japan)

2月6日、CAN-Japanのメンバー団体及びユース代表が、1/23のCAN-Japanの声明を踏まえ、共同の緊急記者会見を開催しました。

2/6の記者会見の動画は、Youtube にてご覧いただけます。

記者会見では、
・日本の温室効果ガス排出削減目標である2030年26%削減目標(2013年度比)、2050年80%目標は、現在進む気候変動問題に対し全く不十分であること、特に2030年までの行動強化が極めて重要であること
・今年11月に開催されるC O P26に向けて提出する国別約束(N D C)は、現在の目標を見直すことなく、そのまま拙速に提出するべきではないこと
を指摘し、各スピーカーから以下の趣旨のコメントを行いました。

平田仁子 / 気候ネットワーク国際ディレクター・CAN-Japan代表
日本が掲げる温室効果ガス排出削減目標、2030年26%削減(2013年比)、2050年80%削減(基準年なし)は、気候変動に立ち向かう上で全く不十分である。日本は、気候変動対策に真っ向から逆行する石炭火力を国内外で推進し続けるなど、ここ何年もの間、世界に大きな遅れをとっている。今年のN D C提出のタイミングにこそ、日本は今のポジションを見直し、市民参加の下で議論を行い、2030年目標を少なくとも45〜50%に、また2050年ネットゼロ目標に引き上げるべきだ。議論なく拙速にN D Cを提出することはあってはならない。

山岸尚之  / WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループ長

気候危機が叫ばれる現状にあって、もし日本が2月に目標を引き上げずにそのまま提出するようなことになれば、日本の消極性を国際的に印象づけるだけでなく、現下、懸命に目標引き上げを検討している他の多くの国々対しても、極めてネガティブな、誤ったメッセージを送ることになる。日本は、国内でしっかりと議論をした上で、目標強化を行うべきだ。

横山隆美 / 国際環境NGO 350.org日本支部代表
世界の金融機関の動きを見ると、世界最大の資産運用会社であるブラックロックや米銀行大手ゴールドマン・サックが最近ダイベストメント方針を発表している通り、明らかに脱炭素社会への適応策が見られます。日本もグローバル市場で競争力を確保するために、脱炭素社会に対応しなければなりません。日本政府にはこのような対応を国として支援する責任があり、それはとりもなおさず二酸化炭素排出を2030年までに半減させるという1.5度目標に整合するNDCの強化をすることです。

大野輝之 / 気候変動イニシアティブ事務局(自然エネルギー財団常務理事)
NDC引き上げを求めるJCIメッセージには、わずか2週間の間に、221の企業、自治体、団体からの賛同が集まった。賛同企業の中には、普段は国の環境政策に対して声をあげない多くの企業も含まれている。これは、「脱炭素化に後ろ向きな国という評価が広がれば、日本企業の世界的なビジネス展開への障害となる」という危機感の現れだ。政府は、産業界にいまやNDC引き上げを求める大きな企業グループが生まれていることを認識すべきだ。自治体からも東京都、長野県、徳島県、京都市、大阪市など21自治体が賛同を表明。また、創価学会、日本生協連など多様な非政府アクターも賛同を表明している。国にはこの幅広い声を聞きNDC強化を行うことを求める。

酒井功雄 / Fridays For Future, Tokyoメンバー、高校生

私たち若者やその先の世代の未来のために、日本政府に対してパリ協定の1.5度目標を反映したより野心的なNDCの見直しを求めます。あなた方は、気候変動の危機を乗り越えた世界へ導く力をまだ持っているのだから。

なお、同様の内容で2月5日に英語で会見も行いました。
英語会見の様子は、Youtubeのアーカイブでご覧いただけます。

またCAN-Internationalは、2月5日の会見を受けたプレスリリースを発表しています。ここで、代表のタズニーム・エソップは、以下のようにコメントしています。

タズニーム・エソップ、代表、CAN-International

今年は削減目標の再提出の年であり、主要な排出者がどのように気候危機に対応するかに注目している。日本に対しては世界の温室効果ガス排出を減らし、気候危機の影響に対応し、IPCCの科学者による温度上昇を1.5度以下にするための緊急の呼びかけに応じて、より野心的な行動を通じて適切な貢献を行うことを期待している。 日本政府が他国の石炭火力をを支援し、22の新たな石炭火力発電所の建設をこの環境危機の最中に進めていることを強く警戒しており、これを受け入れることはできない。日本は少しでも早く社会と経済の転換に踏み出さなければならない。世界の市民社会はこれからもそのための活動を継続し、各国政府を監視していく。そして今後も日本の動きを注視していく。

CAN-Internationalのツイッター

私たちは、引き続き政府に、市民参加の下、NDC引き上げに関する十分な協議を行なった上で、意欲的な水準に行動を引き上げることを政府に求め、活動を展開してまいります。

お問い合わせ:Climate Action Network Japan(CAN-Japan)事務局
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