報告書 日本における石炭火力新増設のビジネスリスク
―設備利用率低下による事業性への影響―
公益財団法人 自然エネルギー財団はこの度、報告書「日本における石炭火力新増設のビジネスリスク―設備利用率低下による事業性への影響―」を公表しました。
パリ協定の成立・発効以降、世界的には、脱炭素経済への転換をめざし、石炭ビジネスから撤退する動きが進んでいますが、日本では42基もの石炭火力発電所の新増設計画があります。
本報告書では、電力需給の現状と今後の見通しについて検証し、石炭火力新増設のビジネスリスクを明らかにしています。新増設計画がすすめられた場合、石炭火力発電所の設備利用率は、現在の80%から大きく低下し、2026年度には56%程度まで下がる可能性があること、また、省エネにより5%程度電力需要が減少すれば、50%を切る可能性もあることを指摘しています。
日本でも、企業の経営戦略の中に脱炭素経済への転換を位置づけ、自然エネルギーの利用拡大をめざす動きが始まっています。企業に対し気候変動に関連する明確な情報開示が求められる中、特に石炭ビジネスに関わる全ての事業者および金融機関には、的確な投融資判断が求められています。本報告書をきっかけにそうした議論が活発化することを期待します。
<目次>
はじめに
1. 2011年以降の電力需給の状況
1.1 エネルギー効率化の進展と電力需要の減少
1.2 様変わりした電力供給の状況
1.2.1 自然エネルギーの大幅な増加
1.2.2 原子力発電の減少
1.2.3 火力発電の減少傾向と設備利用率の低下
1.2.4 火力発電所稼働時間の分析~設備利用率低下の背景~
2. 今後の電力需給の見通し
2.1 電力需要の見通し
2.2 電力供給の見通し
3. 石炭火力発電の設備利用率の低下と事業性への影響
3.1 供給計画の想定の検証~石炭火力の設備利用率に影響を与える要素~
3.1.1 自然エネルギー電源拡大の可能性
3.1.2 供給計画想定の2倍の石炭火力新増設計画
3.1.3 原子力発電所稼働の想定
3.1.4 供給計画の想定の特徴
3.2 今後の石炭火力設備利用率の試算
3.3 石炭火力設備新増設の事業性への影響
3.4 石炭火力新増設計画の見直しを迫られる事業者
4. 今後の石炭火力設備投資に影響する企業動向や政策の展開
4.1 電力ユーザー企業の石炭離れと脱炭素経済に向けた動き
4.2 温室効果ガス削減に向けた政府の動き
おわりに
本文
日本における石炭火力新増設のビジネスリスク―設備利用率低下による事業性への影響― (4.6MB)
概要版
関連報告書
「世界の石炭ビジネスと政策の動向 ~パリ協定後の投融資を誤らないために~」
(2016年10月 公表)
お問い合わせ
自然エネルギー財団のウェブサイトから直接お問い合わせください