環境大臣、新規石炭火力の新設計画を是認せず
大臣意見を歓迎:気候変動対策へ逆行する新規の
石炭火力建設計画は直ちに停止すべき
2015年6月12日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
環境省は本日、山口宇部パワー株式会社が山口県宇部市で計画している新規の石炭火力発電所「西沖の山発電所(仮称)」の計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見を公表し、この事業自体について「是認しがたい」という立場を表明した。
東日本大震災後に大幅に計画が増加している中、環境省が、これまで新規の石炭火力発電計画に対し、環境影響評価のプロセスで提出した環境大臣意見の中でここまで踏み込んだことはない。実質的に事業の再考を求めるものであり、この環境大臣意見に賛同する。
山口宇部パワー株式会社の「西沖の山発電所(仮称)」は、総出力120万kWの大規模な石炭火力発電所であり、建設・運転されれば、推計で720万トンものCO2を排出する。このような大量にCO2を排出する高炭素排出インフラについて、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書は、長期の低炭素化を困難にするため、早期対策が重要であると指摘しているところである。また、先週のG7(主要国首脳会議)では、安倍首相自らが「我々は,2050年までにエネルギー部門の変革を図ることにより,革新的な技術の開発と導入を含め,長期的にグローバルな低炭素経済を実現するために自らの役割を果たすことにコミットする」「我々はまた,長期的な各国の低炭素戦略を策定することにコミットする。」と記した首脳宣言に合意したばかりであり、石炭火力発電の新設は、この合意に完全に逆行する。
環境大臣は、2030年の26%削減の温室効果ガス削減目標案(約束草案原案)及び2030年のエネルギーミックスにおいて石炭火力発電の割合が26%とされていることとの整合性が認められていないことを理由に挙げ、「現時点で是認できず」、まだ構築されていない電力業界全体の枠組みの構築を「早急に求める」としている。しかし、たとえ電気事業者らによる枠組みが構築されようと、石炭火力新設により長期間CO2を大量に排出し続けることには変わらない当該事業が、日本の低炭素経済構築に適さないことは明らかである。
私たちは、今回の環境大臣の意見を踏まえ、経済産業大臣にも同様に当該事業の気候変動影響を鑑み再考を促すことを求めるとともに、山口宇部パワー株式会社には、当該事業を根本から見直し、計画を中止した上で、電力供給事業を行う場合には、環境負荷の大きい石炭火力ではなくクリーンな再生可能エネルギーで事業を計画することを求める。さらに、他の全ての事業者に対しても、すでに配慮書の手続きを経た場合でも、今回の意見書を踏まえ石炭火力建設計画を再考することを求める。
参照
- 西沖の山発電所(仮称)新設計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(2015/6/12 環境省)
- 西沖の山発電所(仮称)新設計画 計画段階環境配慮書 (山口宇部パワー株式会社 )
- 【意見書】山口宇部パワーが計画する西沖の山発電所(仮称)新設計画について(計画段階環境配慮書への意見)(2015/4/30 気候ネットワーク)
- 2015 G7エルマウ・サミット首脳宣言(仮訳)(2015/6/8 外務省)
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【プレスリリース】環境大臣、新規石炭火力の新設計画を是認せず 大臣意見を歓迎:気候変動対策へ逆行する新規の石炭火力建設計画は直ちに停止すべき(2015/6/12)
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