COP20・CMP10 CASA 声明
2015年合意に向けて交渉の促進を!
2014年12月14日(ペルー・リマにて)
地球環境市民会議(CASA)
12 月 1 日から開催されていた気候変動枠組条約第 20 回締約国会議(COP20)と京都議定書第 10 回締約国会合(CMP10)は、12 月 14 日未明(リマ時間)、COP20 と CMP10 の決定を採択して終了した。
COP20 決定は、国別目標案については、提出時期については COP19 での決定どおり「COP21 に十分に先駆けて、出来る国は 2015 年3月末までに」とされている。国別目標案についての情報については、排出削減について各国が提出する情報は決定に書き込まれたが、緩和や資金については抜け落ちてしまっている。国別目標案の事前評価については、2015 年 10 月 1 日までに提出された国別目標案を条約事務局がウェブサイトで公開し、提出された各国の目標案を統合した報告書を準備することになった。2020 年以降の新たな枠組みの要素については、交渉途中の草案が決定の別表として添付されることになった。
多くの対立を超えて COP 決定を採択したこと、2015 年合意の要素についての交渉テキスト案が作成されたこと、緑の気候基金(GCF)に 100 億ドルを超える資金供与が約束されたことは評価できる。しかし、多くの問題が先送りされてしまい、国別目標案の事前評価のプロセスが弱められ、NGO などが事前評価に参加するプロセスも無くなってしまった。2020 年までの取り組みの引き上げについても目立った成果は得られなかった。
COP20 に先立ち、アメリカと中国が新たな目標を発表し、EU も 2030 年 40%削減目標を発表したにもかかわらず、COP の場で新たな目標や目標の提出を約束する動きはなかった。COP20 は、来年の COP21 での 2015年合意への道をつなげることはできたが、パリの COP21 で合意を成立させるためには、交渉を加速させなければならない。
日本政府は、国別目標案の提出時期についても、そのレベルについても言及できなかった。日本が現在の排出量では世界第5位、過去からの累積排出量でも世界で6番目であることを考えれば、その責任は極めて重い。日本政府は、来年3月末までに、野心的で、公正で衡平な国別目標案を提出しなければならない。日本政府は、京都議定書の第2約束期間の削減目標を拒否し、昨年 11 月には COP19 の最中に 2020 年3.1%(90 年比)増加目標を発表するなど交渉の進展を妨害してきた。これ以上、交渉を妨害することは許されない。
IPCC 第 5 次報告書(AR5)は、地球の平均気温の上昇を工業化前に比べて2℃未満に抑制するためには、温室効果ガスを今後数十年にわたり大幅に削減する必要があり、2030 年まで削減努力を遅延させると、2℃未満への選択肢の幅は狭まるとしている。交渉の停滞は許されない。
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参考リンク
CASAウェブサイト 気候変動枠組条約 締約国会議(COP)に関するページ