2020年3月30日、パリ協定において締結国に再提出が求められている国別約束(Nationally Determined Contribution; NDC)が内閣の地球温暖化対策推進本部において、現行のNDCを据え置いたままの内容で決定されました。
この決定に対し、CAN-Japanのメンバー団体から下記の声明が出されています。
350 Japan
N
DCを巡っては、現行の2030年排出削減目標( 2013年比26%削減) がパリ協定の目標とも整合しないことから、 国内においてもNGO(注1)、若者団体(注2)、企業・ 自治体関係者(注3)や国際投資家グループ(注4) をはじめ幅広いステークホルダーが引き上げを求めてきました。…グテーレス国連事務総長 のほか…英国 政府からも日本政府に対して引き上げ要請が行われるなど(注5) 、国際社会からも強い声が上がっていました。…日本 政府がこうした要望に全く耳を傾けず、 透明性の高い議論のプロセスを欠いたまま、 何の引き上げも行わずにNDCを再提出することを決定したことは 極めて遺憾です。…日本政府は、 速やかに透明性の高いプロセスで目標引き上げおよびエネルギーミ ックスのあり方についての議論に着手し、 COP26までにより高い目標を再提出すべきです。
地球環境市民会議(CASA)
先進国では最低レベルの国別削減目標を引き上げること無く提出することは、気候変動の深刻な影響に晒される、世界の子ども達と将来世代に対する背信行為である。…日本政府は、直ちにエネルギー基本計画と地球温暖化対策計画の見直しに着手し、今年11月のCOP26までに、大幅に引き上げられた削減目標を提出すべきである。いよいよパリ協定は実施の段階に入った。グレタ・トゥーンベリさんは、2020年からの10年が「私たちの未来を決める10年」だという。日本を含め各締約国が、この10年にパリ協定の目的に沿った行動をするかどうかに、人類の未来がかかっている。
出典:日本政府の国別削減目標提出についてのCASA声明― 削減目標の引き上げとエネルギー基本計画の見直しを ―(2020年3月30日)
WWFジャパン
本日、日本政府・地球温暖化対策推進本部が、パリ協定の下での国別目標(NDC)を、現行目標から変更せずに提出することを決定したことについて、WWFジャパンは深く失望し、強い抗議の意を表明する。…世界第5位の排出大国である日本が、「目標を強化しなくてもよい」というメッセージを世界に先駆けて出すということは、今、国際社会で求められる脱炭素に向けてのリーダーシップとは真逆だ。そればかりか、他国が目標を強化する意欲をそぐことになりかねない。日本政府は、改めて、気候危機に対応するという観点から、エネルギー政策も含めた一体的な見直しを行う公開の場を設け、市民社会も含めたステークホルダーの意見を聞きながら、削減目標強化の議論を早急に開始するべきである。。
出典:パリ協定へ日本の国別目標強化なしで再提出にWWF強い抗議の意を表明~強化を見据えた見直しプロセスの早期開始とスケジュール提示を!(2020年3月30日)
気候ネットワーク
…気候危機のさらなる深刻化を回避するためには、今後10年間の対策強化が極めて重要であり、2020年に再提出するNDCで目標を大きく引き上げることが1.5℃の実現に決定的に重要と考えられている。そのような中、日本政府がNDCの目標を据え置いたことは、気候危機対策の放棄に等しい。日本政府は速やかに2030年目標を引き上げる検討プロセスのあり方及びスケジュールの見通しを示す必要がある。また見直し・
目標の提出は1年以内に完了させるべきである。…市民参加を確保した透明なプロセスで議論すべきなのはいうまでもない。もはや気候危機対策に猶予はない。
出典:日本、気候危機を招く不十分な気候目標を据え置き~1年以内に気候・エネルギー政策を見直し、目標引き上げを~(2020年3月30日)
(随時更新します。)