この共同声明に新たに賛同いただいた団体を掲載しました(2021年12月23日)。ご賛同いただいたみなさま、ありがとうございました。

【共同声明】

COP26決定を受け、国が決定する貢献(NDC)の強化の着手を
―気候危機の回避に向けた2030年削減目標引き上げと関連政策の見直しを求める共同声明―

2021年12月7日

  2021年10月31日から英国・グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、会期を一日延長し、「グラスゴー気候合意(Glasgow Climate Pact)」を採択のうえ11月13日に閉幕しました。

 「グラスゴー気候合意」においては、最新の科学的知見を取り入れ、気温上昇を2℃より気候変動の影響が小さい1.5℃に抑える努力をすることを決議し、世界が1.5℃を目指して取り組むことが事実上の目標となりました。そのためにはこの10年が決定的に重要であることや、二酸化炭素の排出量を世界全体で2030年までに2010年比45%削減し、2050年にはネット・ゼロを目指すことを含む、温室効果ガスの排出削減の重要性も確認されました。

 一方で、これまでに提出されたNDCがすべて実行されたとしても、1.5℃目標の達成には遠く及ばないことを認め、パリ協定の締約国に対しNDCを2022年末までに提出すること、提出にあたっては2030年目標を再検討・強化することが求められました(CMA決定文書1パラグラフ29)。

 1.5℃とのギャップを埋め合わせるためには、日本もこの決定に従い、2030年目標を含むNDCを見直し強化する必要があります。2022年のCOP27に新たなNDCを提出するためには、2022年初頭には見直しのプロセスを開始する必要があります。また、目標を強化することと同時に、対策を速やかに加速させるために、関連政策の強化も進めなければなりません。

  特筆すべきは、決定文書に「クリーンな電気の普及を加速させ、排出削減対策が講じられていない(unabated)石炭火力発電の段階的削減(phasedown)と、非効率な化石燃料補助金の段階的廃止(phase-out)」をすることが盛り込まれた点です。ここでいうunabatedとは、国際的には炭素回収貯留(CCS)が想定されており、日本政府が進める「水素・アンモニア混焼」や「火力発電の高効率化」などは含まれないと解釈されます。石炭火力は全廃していくべきことがCOP26でのほとんどの国の総意であったことを受け、日本の対策・政策強化が求められています。

 そこで、「グラスゴー気候合意」が呼びかける1.5℃目標の達成のため、2022年までに削減目標を強化したNDCの提出に向けて、私たちは、日本政府に以下の取り組みを求めます。

1.2022年の国別削減目標(NDC)の再提出に向け、現行の「2030年までの温室効果ガス排出削減目標を2013年度比46%削減とし、50%の高みに向けて挑戦を続ける」から、さらに削減目標を引き上げ、1.5℃目標に整合させること
 1.5℃目標の達成に向け、2022年末までのNDCの見直し・提出という形で削減目標強化を求めているCMA決定を受け、世界第5位の排出国である日本を含む先進国として、1.5℃目標を目指すことを明確に宣言し、2022年のNDC提出にあたってはさらなる削減の上積みを求めます。国際貢献分を算入する場合は、目標に対して上乗せするようにするべきです。なお、国際的な科学者グループ「クライメート・アクション・トラッカー」は、1.5℃未満のためには日本は2013年比で2030年までに60%以上の排出削減が必要だと分析しています。

2.石炭やその他の主要政策の見直しに着手すること。そのために第6次エネルギー基本計画および地球温暖化対策計画を見直すこと
 2021年10月22日に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」等で示される気候・エネルギー関連施策とエネルギーミックスでは、1.5℃目標の達成のための日本の目標として全く不十分です。CMA決定は、再生可能エネルギーの導入の加速と、石炭火力発電の削減、化石燃料補助金の段階的廃止を呼びかけています。これを受け、政府には、第6次エネルギー基本計画および地球温暖化対策計画を見直し、アンモニア・水素技術に期待しながら石炭火力発電を利用し続ける現行の方針から、再生可能エネルギー導入目標を引き上げるとともに、石炭火力発電所の段階的全廃を具体的に進める方針へと転換を図ることを求めます。

以上

Climate Action Network Japan(CAN-Japan)
国際環境NGO 350.org Japan
Citizens’ Climate Lobby Japan
国際環境NGO FoE Japan
WWFジャパン
環境エネルギー政策研究所(ISEP)
気候ネットワーク
国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
自然エネルギー財団
世界連邦運動協会
地球環境市民会議 (CASA)
ピースボート
コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン気候危機プログラム

賛同団体

Fridays for Future Osaka、Fridays For Future Tokyo、環境文明21、グリーン連合、自然エネルギー市民の会
350 New ENEration、350Tokyo、350 Shizuoka、350中四国ネットワーク、Fridays For Future Hiroshima、Fridays For Future Sendai、Fridays For Future Yokohama、FridaysForFuture太宰府、足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ、あわエナジー、大磯エネシフト、おかやまエネルギーの未来を考える会、きょうとグリーンファンド、京都・水と緑をまもる連絡会、熊本県棚田発電等推進協会、原子力資料情報室、こだいらソーラー、サステナビリティ日本フォーラム、さよなら原発小田原、自然エネルギーねやがわ市民の会、市民共同発電みのお、市民電力連絡会、ストップ気候危機!自治体議員による気候非常事態・共同宣言の会、生活クラブやまがた生活協同組合、ゼロエミッションを実現する会、ゼロエミッションを実現する会横浜、ゼロカーボンシティ杉並の会、地球救出アクション97、チーム1.5おおいた、豊中市民エネルギーの会、習志野の海を守る会、パワーシフト杉並、パワーシフト福岡、東村山エナジー、ひた市民環境会議エネルギー部会、ベクレルフリー北海道、北海道グリーンファンド、北海道新エネルギー普及促進協会、やまがた自然エネルギーネットワーク、リアルにブルーアースおおさか

(五十音順)

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【共同声明】COP26決定を受け、国が決定する貢献(NDC)の強化の着手を―気候危機の回避に向けた2030年削減目標引き上げと関連政策の見直しを求める共同声明―(2012年12月7日、12月23日更新)

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〒604-8124京都府京都市中京区帯屋町574番地高倉ビル305気候ネットワーク内
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