パリ協定運用ルールの交渉加速を!
2017年11月18日(ドイツ・ボンにて)
地球環境市民会議(CASA)
11 月 6 日から、島しょ国フィジーが議長国となって開催されていた気候変動枠組条約第 23 回締約国会議(COP23)は、11 月 18 日未明(ボン時間)、決定を採択して終了した。
COP23 の任務は、来年の COP24 で合意されることになっているパリ協定の運用ルールを 準備すること、2018 年の促進的対話の進め方を決めることであった。さらに、途上国が強 く要求した、2020 年までの先進国の約束を点検する「プレ 2020」問題をどう扱うかも大き な問題になった。
パリ協定の運用ルールについては、各国の主張や提案を統合したペーパーが作成され、 促進的対話については IPCC の 1.5°C特別報告書のインプットを受け、排出削減の野心強化 のための検証が開始されることになった。「プレ 2020」については、削減目標の引き上げ や資金などについて、2018 年と 2019 年の COP で検討することになった。COP23 は基本的に その任務を果たしたと言ってよい。しかし、パリ協定の運用ルールについては、その内容 が具体化しているとは言い難い。交渉時間は追加会合を含めても 6 週間しかない。可能な 限り交渉をスピードアップする必要がある。
COP23 のもう一つの焦点は、トランプ政権のパリ協定離脱宣言の影響であった。しかし、 COP23 の期間中にシリアが批准したことで、パリ協定から離脱するのはアメリカのみにな ることが確定した。また、アメリカの 56%の人口を占める州や都市が参加する「We are still in」イニシアティブの活発な活動がCOP23の参加者を励ました。トランプ政権は、 世界でも、国内でも、完全に孤立している。
また、石炭からの脱却の動きも加速している。11 月 16 日には英国とカナダが主導して、 石炭からの段階的廃止を宣言する「脱石炭に向けたグローバル連合」が、25 の国や都市が 参加して結成された。
日本は、石炭技術の展開を優先事項とする「日米戦略エネルギーパートナーシップ (JUSEP)」に合意したことで、「化石賞」を受賞した。ほとんどの先進国が脱石炭の動きを 加速するなかで、日本はパリ協定に逆行する「特異」な国になってしまっている。
UNEP の「ギャップレポート」は、「2018 年の促進的対話と 2020 年の削減目標の改定が、 2030 年のギャップを減らす最後のチャンス」だとしている。2020 年までの 3 年間に人類の 未来はかかっていると言っても過言ではない。
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