こちらのページの内容は個別団体のものであり、CAN-Japan全体としての見解ではありません。

こんにちは、グリーンピース・ジャパンの気候変動・エネルギー担当の高田です。空の様子や虫の声が、だいぶ秋めいてきましたね。

そしてついに、この日がやってきました! 今日9月15日、日本全国で全部の原発の運転が止まってから丸1年になったのです。

このブログでは、原発ゼロにまつわる、よくある5つの疑問におこたえします。

  • 疑問1:日本全国原発ゼロってどういうこと?
  • 疑問2:原発で発電していた分、いまはどうしているの?
  • 疑問3:化石燃料の輸入が増えて、「国富流出」って聞いたけど?
  • 疑問4:二酸化炭素の排出、増えているのでは?
  • 疑問5:自然エネルギー、どれくらい増えているのかな?

 

疑問1:日本全国原発ゼロってどういうこと?
答え1:日本全国に今ある原発の原子炉48基すべてが全く使われず、原発の電気を1キロワット時も使わずに、1年を迎えたということ。

東京電力の福島原発事故の前、原発は日本の電気の約30%をまかなっていました。その54基の原子炉のうち福島第一原発の6基は二度と使わないこと(廃炉)が決まり、残り48基のうち46基(96%)は過去2年以上、まったく使用されていません。

そして、最後まで運転していた福井県の関西電力大飯原発4号機が2013年9月15日に停止してから、今日で丸1年になりますが、その間、原発停止による停電は起きていません。

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疑問2:原発で発電していた分、いまはどうしているの?
答え2:大部分は、省エネと天然ガスで代替されています。

省エネのチカラ 1.7兆円、原発13基分

上のグラフは、原発事故前の2010年度に原発によって発電された電力量(赤色)がほぼゼロとなった分を、2013年度にはどのように代替していたかを示したもの。注目は「省エネ・需要減」で、省エネなどにより減った発電量(789億kwh)を示しています。もし省エネせず、これがすべて化石燃料(石炭・石油・天然ガス)による火力発電で代替された時と比べ、1.7兆円の節約効果がありました。

*省エネ効果1.7兆円の計算は、2010年度と2013年度を比較し、4兆円増加したとされる化石燃料購入費を、この間増加した火力発電による発電量(1900億kwh)で割り、789億kwhを掛けたもの。

ちなみに、減少した789億kwh(一般家庭2200万世帯分)は、原発13基分の年間発電量に相当します。またこの間、日本のGDP(国内総生産)は2012年に過去最高を記録しています。

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疑問3:化石燃料の輸入が増えて、「国富流出」って聞いたけど?
答え3:輸入量は増えています。ただ、「国富流出」と言われている化石燃料の購入費増加分のうち65%は、円安と単価上昇が原因。単純に輸入量が増えたことだけが問題ではないんです。

原発の燃料ウランや、火力発電の化石燃料(石炭・石油・天然ガス)は、国産ではありません。ほぼ全量が外国からの輸入です。こうした輸入燃料を使うことは、毎年何兆円も外国への支払い(国富流出)を続けることを意味します。さらに、これらの燃料は、少数の国や地域でのみ産出されるため、単価に大きな変動があります。また埋蔵量に限りがあるので、単価は今後も上昇していくことが予測されています。

一方、自然エネルギー(太陽光・風力)は、国産で、燃料費が無料、しかも世界中に無尽蔵にあり、なくなることはありません。自然エネルギーの利用は、外国ではなく、国内にお金を循環させることにつながります。さて、「国富流出」を防ぐために、どんどん伸ばすべきはどちらでしょうか?

 

疑問4:二酸化炭素の排出、増えているのでは?
答え4:事故前と事故後に、目立った変化はありません

発電などからの二酸化炭素排出量は、原発事故以前・以後でほとんど変化は見られません。2009年~2010年に約7%増加したのに対し、2010年~2012年の年間排出量は8%未満の増加でした。

つまり、原発事故後の二酸化炭素の排出量は、急激な増加とはほど遠く、2008年の金融危機からの景気回復による影響を一部受けつつ、それまで問題となっていた排出増加の傾向が続いているのが現状です。

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疑問5:自然エネルギー、どれくらい増えているのかな?
答え5:2013年度のみで、自然エネルギーによって、原発3基分の電気が新たに発電されました

2012年7月から始まった「固定価格買取制度」をきっかけに、自然エネルギーの利用が全国各地で増えています。この制度の対象となるのは、太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマスによって発電された電気。

新しくできたこれらの自然エネルギー発電所から、2013年度には年間181億kwh(一般家庭500万世帯分)が実際に発電されました。これは原発3基分の年間発電量に相当します。そして、自然エネルギーの導入は、いまも全国でどんどん増えています。政策の後押しがもっとあれば、さらに多くの可能性が広がります。

 

2年足らずで、530,000カ所の「ミニ太陽光発電所」が誕生

また、2012年7月から始まった「固定価格買取制度」から2014年5月までの2年足らず(23カ月)で、53万件の小規模な太陽光発電所(住宅の屋根など)が、資源エネルギー庁から認定を受けて誕生しました。

1件の申請が1カ所とすると、全国で毎月2万3000世帯が新たに「ミニ太陽光発電所」になり、電気を使うだけの暮らしから、電気をつくり指す生活へとシフトしている計算になります。53万カ所の「ミニ太陽光発電所」が23カ月で創り出した電気は85億kwhで、原発1.4基分の年間発電量に相当します。
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歴史的な原発ゼロ一年、みんなで祝おう、広げよう!

東京電力福島第一原発事故前、日本の発電量の 30%を占める原発を、短期間にゼロにすることが可能だと公言していた人は、ほとんどいませんでした。でも今日、日本は約半世紀ぶりに、原発から供給される電気がゼロ 1 年を迎えました。

これほど急激で、大規模な原発ゼロの達成は、世界でも例がありません。しかも、当初懸念されていた電力不足による停電も起きていません。

原発の再稼働見込みを何度も延期する電力会社を尻目に、市民、地域コミュニティー、企業は自主的に省エネとエネルギー効率化を進め、自然エネルギーの導入拡大を牽引してきました。政府は、原発に依存してきた過去に戻るのではなく、省エネと安全で持続可能な自然エネルギーによる未来へと進むべきだと思います。

みんなで、歴史的な原発ゼロ 1 年を、「自然エネルギー革命」を次のステージへとさらに加速する起点の日としませんか。

実は、「原発ゼロ1年」のこと、知らない人がたくさんいるんです。グリーンピースの調査では、回答者の50%が知りませんでした。

そこで、このブログを読んでくださったあなたにお願いです。ぜひ、家族やお友達など2人に「原発ゼロで1年なんだよー」と、クチコミしてください。
歴史的な原発ゼロ一年、みんなで祝おう、広げよう!

 

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このブログの内容は、ブリーフィングペーパー『日本全国で「稼働原発ゼロ1年」達成』(2014年9月、グリーンピース・ジャパン発行)をもとにしています。

また、原発事故から半年後の 2011 年 9 月、グリーンピースは『自然エネルギー革命シナリオーー2012 年、すべての原発停止で日本がよみがえる』を発表しました。そのなかで示した、「2012 年にすべての原発が停止しても必要な電気がまかなえる」は現実となり、太陽光発電の予測導入量も、ほぼ現状と合致しています。同シナリオでは、2020 年に自然エネルギーで電力の 43%を賄うことを描いています。